チェーン搬送
装置解説
この装置は、樹脂チューブ(スリーブ)をチェーンを用いて搬送し、さらに一時的に貯めて(アキュムレーションして)流動するための搬送機です。
工程間に設置され、前工程と後工程の処理速度の違いや、途中で一時的に停止する、いわゆる「チョコ停」の影響を吸収する役割を担います。そのため「ダンサー機構」と呼ばれる仕組みを取り入れています。
ダンサー機構とは、搬送中に発生するチェーンの弛みや張力の変動を吸収し、ラインの動きを安定させるものです。今回は、搬送するチューブのストック量(バッファ)を調整できるようにするため、このダンサー機構を採用しています。
ここでいうバッファとは、前工程から送られてきたチューブを後工程に受け渡すまでに一時的に蓄えておける容量を数値化したものです。バッファがあることで、工程間の処理速度のズレや停止があってもスムーズな流れを維持できます。
搬送自体はスプロケットによるチェーン駆動で行われます。これは歯車のような形をしたスプロケットと、それに噛み合うチェーンを使って動力を伝える仕組みです。自転車やバイク、産業用コンベアなどでも広く使われている一般的な方式です。さらに、搬送する対象物(スリーブ)をしっかり保持するため、チェーンには専用のアタッチメント(取付金具)が一体化しており、安定した搬送が可能になっています。
今回製造ラインへの適用
本装置は、上流工程の筒張り機(シーマー)や口元成形機(ヘッダー)から供給されたチューブをアタッチメント(取付金具)付きチェーンに移載、スプロケット駆動によりループ状(一筆書き)のアタッチメント付チェーンにアキュームしながら搬送します。
ダンサー機構によりバッファ数を可変しながら先入れ先出しで下流工程に供給します。
ワーク概要
- 樹脂チューブ・スリーブ(φ25~50・胴長80~200mm)
お客様からの課題と要望
- 品種切替時、コンタミ(異品種混入)防止のため装置内を空にしたい
- 下流工程の稼働都合上、一旦最多バッファリングしたい
- チューブに搬送チェーンの汚れを転写したくない
- 成形直後のチューブを強制冷却したい
- 下流装置の動作に同期してチューブを供給したい
弊社からの提案と技術的ポイント
- 強制排出モード機能を付加し、通常モード(先入れ・先出し)からシームレスに切替可能としました。
- 総ストック本数を300本以上とし、排出部の直前まで溜められるカウント搬送機能により最大バッファリングを可能としました。
- アタッチメント(ニードル)部に隔壁カバーを付加し、チェーン汚れ付着を防止しました。
- 装置上部にダクトを配し、外部クーラーにより冷風を循環する機構を追加しました。
- オプションとして同期プッシャ機能を用意しました。
弊社からの一言
弊社では、チューブ搬送機はもちろん、キャッピング機やシュリンク機、画像検査機など樹脂チューブの各種生産装置を手掛けています。
樹脂チューブに関する装置はぜひご相談ください。