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インサート打抜装置

インサート打抜装置

打抜装置とは

打抜装置とは、一般的に板状の材料から穴や形状を打ち抜くための機械です。
様々な分野で利用されており、主な用途は以下のとおりです。

  1. 紙加工:段ボール、紙箱、封筒、名刺などの製造
  2. 金属加工:缶、自動車部品、電子機器部品などの製造
  3. プラスチック加工:ペットボトル、容器、包装材などの製造
  4. 布加工:衣類、靴、バッグなどの製造
  5. その他: 皮革、ゴム、木材などの加工

打抜装置には様々な種類があり、それぞれ異なる機構と特徴を持っています。
主な種類は以下のとおりです。

  1. 手動打抜機:手動で力を加えて打抜きを行う装置。小型で安価なため、少量生産に適している。
  2. 油圧打抜機:油圧シリンダーの力で打抜きを行う装置。大型で強力なため、厚い材料や大量生産に適している。
  3. 電動打抜機:モーターの力で打抜きを行う装置。手動打抜機より高速で、油圧打抜機より安価なため、中程度の生産量に適している。
  4. サーボ打抜機:サーボモーターの力で打抜きを行う装置。高精度で高速な打抜きが可能。
  5. レーザー打抜機: レーザーを用いて打抜きを行う装置。複雑な形状の打抜きが可能。

打抜装置は、現代の工業において欠かせない機械の一つです。

ワーク概要

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マウス操作で回転/拡縮可能です

画像はイメージです

インサート成型回転軸付ギヤ、キノコ型、30種、ギヤ部不良品
(軸:ステンレス、外径φ10、長さL55~140)(ギヤ:樹脂、外径φ20~33、高さH21~30)

装置の詳細

この装置は、穴や形状を打ち抜く一般的な打抜装置とは異なり、結合された部品からひとつの部品を打ち抜き分解するための装置です。具体的には、樹脂のギヤにインサートされたステンレスの軸を打ち抜く装置で、製品をセットするための「可動式位置決め台」と打ち抜くための「パンチ機構」で構成されております。

打ち抜く理由として、不良となったギヤは廃棄されますが、高価な軸は再利用可能な場合があります。そこで、この装置ではパンチ機構を用いて、ギヤから高価な軸を打ち抜いて、無駄なく再利用できるようにしています。

安全域にある可動式位置決め台の製品挿入部に人手で軸を下側にして差込んでセットし、パンチ機構部にスライドさせるとスイッチが反応することで自動でパンチが下降してギヤから軸が打抜かれる仕組みです。
ワーク30種に対しては汎用性を持たせており段取り替えの必要はなく、作業性向上や生産性向上にも繋がります。

お客様からの課題と要望

従来、弊社では他社製の装置を用いてギヤから軸を打ち抜いていました。しかし、油圧機器の劣化による圧力不足で再利用可能な回転軸が未回収となり再利用できず、歩留まりが低下していました

さらに、作業者とパンチ機構部の間を遮るシャッターやカバーがなく、安全面においても課題を抱えていました。
これらの課題を解決するため、単に既存装置を改造・改修するのではなく、生産性向上と安全性を兼ね備えた新たな打抜装置の導入を決めました。

弊社からの提案と技術的ポイント

お客様からの課題について対応したこと
  • 安全性の確保
    可動式位置決め台に縁を付け、パンチが降下する際に手指が入るスキマをなくして安全性を確保した。
弊社から提案したこと
  • 省力化とサイクルタイム短縮
    可動式位置決め台を押込むとパンチが降下するため、下降用スイッチのプッシュ作業がなくなり、省力化とサイクルタイム短縮を図った。
    従来廃棄ギヤは人手で回収していたが、可動式位置決め台を引出す時にエアブローで回収箱に吹飛ばすようにし、省力化とサイクルタイム短縮を図った。
  • 保全性の向上
    可動式位置決め台のスライド部やパンチのガイド部に無給油潤滑部品を使用したことで、定期的な給油をなくして保守作業を軽減した。
  • ワーク挿入部形状の工夫
    異常動作時に衝突の恐れがある可動式位置決め台とパンチは、挿入部を長穴にして衝突しない構造にしたことで、装置破損のリスクを回避した。
    (挿入部長穴は前進端の打ち抜きポイントで円形となり、パンチとズレが生じない仕組み)