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姿勢変換装置

姿勢変換装置

姿勢変換装置とは

姿勢変換装置とは、作業員が扱い易いようワークの姿勢を改善し、作業効率や生産性、労働環境の向上に役立つ装置です。
工場作業では、長時間同じ姿勢で作業を行うことが多く、そのために腰痛や肩こりなどの労働災害が発生することがあります。また、作業姿勢が悪いと作業効率が低下し、生産性にも影響します。
姿勢変換装置は、このような問題を解決するために開発された装置です。主な機能は、ワークの姿勢を自動で調整したり、作業者の負担を軽減したりすることです。
姿勢変換装置は、主に重量物の持ち上げや、部品の組み立て・加工などの作業時に用いられます。重量物を持ち上げる際には、怪我のリスクを軽減するために、姿勢変換装置を使用して適切な体勢を保つことが重要です。
部品の組み立て・加工においても、姿勢変換装置を使用して無理な体勢を避けることで、作業効率の向上や怪我の防止につながります

装置の詳細

ワーク保管場所に数十本のグラビアシリンダーが立てて置いてあり、ここから1本ずつ取り出して印刷機の傍らに横向きに90度倒してセットする必要があります。

本装置は、縦長(1100mm×φ240mm)、重量50kg円筒のワークを縦から横、横から縦に姿勢を90度傾斜します。動力はエアシリンダのみでリンク機構により起立・横倒し状態に姿勢を変えます。自動機というよりは作業者負担を軽減するアシスト装置という位置づけになります。

使用方法としては保管場所からグラビア印刷用のワーク(版シリンダー)を取出し、装置に縦向きにセット・ゴムバンド結束後、ハンドバルブを操作して台座に締結されたエアシリンダの伸縮により、ワークを台座ごと横倒しにした状態で印刷機まで装置ごと台車(人力)移動、ワークを水平のままセットします。

使用後のワークを再度水平のまま装置にセット、保管場所付近まで装置ごと人力移動、ハンドバルブを操作してワークを起立します。台座からワークを取り外し、保管場所へ戻します。

お客様からの課題と要望の追加

50kgにもなる重量物の姿勢変換作業が日々何十回と繰り返されるため、作業者の足腰にかなりの負担・労力がかかっている
そのため、作業者に最も負荷がかかる、ワークの引き起こし・横倒し作業を動力に任せて負担を減らしたい。

ワークの置き場が工場内の数か所に分散している。
このため装置を容易に移動できるようにしたい

姿勢変換装置でワークを水平にしたのち、ワークのキズ、汚れの目視検査を行い、お客様で準備されている搬送専用台車を姿勢変換装置に横付けし、ワークを転がして乗り移らせる場合があります。
その動作時に搬送専用台車が、ワークの重みの偏りによって片輪が浮いてしまうため改善して頂きたい。

搬送専用台車へのワーク乗り移り工程は、指定場所を設けるのではなく、どこでも行える機構にしてほしい。

名古屋精工からの提案

装置設計にあたり、作業者負担を極力軽減するため、保管場所~装置間・装置~印刷機間のレベル差をほぼ無くして平行移動だけで済むよう姿勢レベルを設定しました。
また安全面を考慮した結果、万が一、不意にエア源が遮断されシリンダが誤動作した場合に手を挟む恐れを想定しロック付きエアシリンダを採用しました。

装置の移動のし易さにおいては、取り回しを簡素化するため電動レスとし、エアホース1本での駆動源供給としました

搬送専用台車へのワーク乗り移り作業は人手で行えて場所を選ばず、どこでもできるようにし、作業が簡単で動力も必要としない安価な構造としました。

技術的ポイント

装置操作時に、エアシリンダ内圧が抜けているとシリンダが急激に動作し、装置やワークに損傷を与える恐れがあります。また、作業者や周囲の人に危害を加える恐れもあります。

今回、デュアル スピードコントローラ(スピコン)を採用しました。

通常のスピコンはout絞りを使用しますが、ソレノイドバルブがセンターオープンの場合、シリンダピストンに背圧がかかっていないため急速にエアが供給されると排気側へピストンが急作動し、人の手が挟まれる恐れがあります。
これを防止すべく流入エアを少しずつ入れるのにin絞りスピコンを使用する場合があります。デュアルスピコンはこのout・in絞りの機能を兼ね備えたものになります。

搬送専用台車のL字アングル構造を利用し、姿勢変換装置へL字アングル部品を追加組付して、お互いを合わせた部分へ、コの字型のブラケットを差し込むことにより固定しました。
作業性とコスト面を考え、最小限の部品(2点)でお客様の要望に応えることが出来ました。

弊社からの一言

弊社ではユーザー様の安全と安心を第一に考え、安全性とメンテナンス性を向上させ、また、コストパフォーマンスにも配慮した製品づくりを心がけております