静電防止チャック
お客様の課題と解決方法
フィルムインサート射出成形工程では、静電気により三つの重大な課題が発生していました。フィルムの位置ズレ、金型表面への不均一な密着、そしてフィルムの搬送チャックへの付着です。これらの問題により、製品品質の低下や生産効率の悪化を引き起こしていました。
この課題を解決するため、静電防止ソリジュールの導入と除電器の併用により、静電気を効果的に制御。その結果、安定したフィルム供給と正確な位置決めが可能となり、高品質な製品の安定生産を実現することができました。
超高分子量ポリエチレンとは
超高分子量ポリエチレン(ULTRA HIGH MOIECULAR WEIGHT POLYETHYLENE ーUHPEまたはUHMWーPE)は、エンジニアリングプラスチックの一種で、その中でもさらに優れた性質を持つスーパーエンジニアリングプラスチックに分類されています。、呼び方も各メーカーにより様々で、タイバー、UHMW-PE、ニューライト、ウルモラー、ソリジュールなど多彩です。
通常2~30万の分子量を、ポリエチレン分子製造時間をながくすることによって100~700万まで高めたポリエチレンで、高い耐衝撃性や耐摩耗性、導電性、帯電防止性、耐薬品性をもっているため、負荷の高い機械部品や食品加工機械などにも使用されます。
見た目は一般的なポリエチレンと見分けがつきませんが、桁外れに高い分子量により遥かに優れた特性を有しています、そして吸水性が低いため水を使用する場所にも最適な材料となります。
超高分子量ポリエチレンのメリット
- 耐摩耗性が高く潤滑性に優れている
耐摩耗性が高く、自己潤滑性を持つため摺動によって自己が傷つかないだけでなく、相手部品を傷から守ります。
POMをはじめとしたナイロン系の樹脂よりも高い耐摩耗性を有しています。 - 耐衝撃性が高い
高い分子量を持ち、分子構造が鎖の様に複雑に絡み合っているため、耐衝撃性はプラスチックの中では最高です。 - 耐薬品性が高い
高い分子量をもつため、薬品に侵されにくく化学的な反応に強い、そのため食品化工機など、水や塩、酸などがかかりやすい部位にも使用できます。 - 吸水性が低い
吸水性が低いため湿度による寸法変化が起こりにくい、そのため、歯車やレールなど、高い寸法精度が求められる部位にも使用できます。
超高分子量ポリエチレンのデメリット
- 温度による寸法変化が大きい
線膨張係数が大きいため温度による寸法の変化が大きく、加工に伴う熱の影響で加工後の寸法が変化してしまうケースも多く見られます。 - 接着加工に不向き
自己潤滑性が高いため、接着が難しい、よって接着加工には向きません。他の部品と組み合わせる際には、他の方法で組付けられるように工夫する必要があります。
ソリジュール使用事例
フィルムをワーク型に吸着させ、成形機の金型にインサートする工程において、帯電防止ソリジュールの使用により静電気の発生を抑制。これにより、金型へのフィルムインサートがスムーズに行え、位置ずれも防止することができました。さらに除電器を併用することで、より確実なインサート作業が実現可能となりました。
従来、射出成形におけるフィルムインサート工程では、静電気の発生により深刻な課題を抱えていました。具体的には、金型へのフィルム供給が困難であり、位置ずれが頻発。さらに、フィルムが金型に定着せずに持ち帰られてしまうなどの問題が発生していました。
この問題に対し、静電防止性能を持つソリジュールを採用することで、フィルムの静電気帯電を効果的に制御。除電器との併用により、より確実な静電気対策が可能となり、金型へのフィルムインサート作業が安定化しました。これにより、インサート位置のズレも防止でき、作業効率と製品品質の向上を達成することができました。